
研修マッチングで組織を変える|課題解決と成果を生み出す人材育成の全ノウハウ
記事公開日 : 2026/09/28
記事公開日 : 2026/10/02
選考辞退の理由を聞いても、「他社に決まった」「条件が合わなかった」で記録が止まり、次の募集で何を変えるべきか分からない。そんなときに見直したいのが、辞退アンケートの聞き方と、回答の読み方です。
この記事では、質問例5つ、依頼メール、集計時の注意点、回答から改善策を決める手順をまとめます。候補者に回答を強いることなく、採用担当者が日々の業務に取り入れられる形で解説します。
「他社への入社が決まったため、選考を辞退します」。この連絡だけでは、自社の何を見直すべきかまでは分かりません。仕事内容が希望と違ったのか、条件が合わなかったのか、それとも選考の途中で必要な情報が届かなかったのか。「最終的な進路」と「その判断に影響した要因」を分けて聞くことで、次の採用につながる手がかりが得られます。
ただし、アンケートは候補者の決断を変えさせるためのものではありません。回答を辞退受付の条件にせず、まず相手の意思を受け止めます。そのうえで、今後の募集内容や選考対応を改善する目的を伝え、協力を任意でお願いしましょう。
本記事では、応募後から内定後までの辞退を対象に、アンケートの質問例と運用方法を紹介します。質問文や依頼メールは、本記事で作成した実務用の例です。一般的な辞退防止策については、関連記事「内定辞退を防止する対策|今すぐできる新卒・中途別の対処法」もご覧ください。
辞退の連絡に返信する際は、受け付けたことと、選考に参加してくれたことへのお礼を先に伝えます。アンケートはその後に添え、返信や電話での説明を重ねて求めない運用にします。送信時期の正解を一律に決めるより、「辞退を受け付けてから依頼する」「回答がなくても繰り返し催促しない」というルールを担当者間でそろえることが先です。
フォームの冒頭には、採用活動の改善に使うこと、回答が任意であること、回答を扱う担当部署を示します。社内では閲覧者や保管期間も決めておきましょう。健康状態や家庭の事情など、今回の改善に不要な詳細を尋ねる設問は設けません。自由記述欄にも、個人名や他社の機密情報を書かないよう案内します。
記名しない形式でも、個別の回答URL、メールアドレスの自動収集、少人数の職種と選考日の組み合わせなどから回答者が分かる場合があります。氏名欄をなくしただけで「完全匿名」とは案内しないことが大切です。匿名で運用するなら、フォームの設定と集計方法もその説明に合わせます。
「面接官の対応や連絡スピードに満足しましたか」では、対応は良かったが連絡は遅かった人が答えにくくなります。聞きたい内容を絞り、誘導的な表現を避けましょう。質問を一つの論点に絞る考え方は、Pew Research Centerの質問設計ガイドでも説明されています。
また、答えにくい項目は飛ばせる設計にします。AAPORの調査実務ガイドも、回答負担を抑え、質問のスキップや「分からない」「答えたくない」という選択を認めることを挙げています。
以下は、全問を任意回答にする設計例です。全部を必ず採用する必要はありません。自社で何を改善したいのかに合わせて選んでください。送信前にはスマートフォンで試し、選択肢の見切れ、入力のしづらさ、回答を飛ばして送信できるかを確認します。
質問文:今回、当社への応募・選考を辞退する判断に影響したことを、差し支えない範囲でお選びください。(複数選択可)
ここでは、判断に関わった要因を広く把握します。「その他」の詳細入力は必須にせず、「回答を控えたい」は他の選択肢と同時に選ばない設定にします。会社に都合のよい理由だけを並べないこともポイントです。
質問文:今回の辞退の判断に、最も大きく影響したことを一つお選びください。(単一選択)
選択肢は質問1と同じ項目を基本とし、「一つには絞れない」「分からない」「回答を控えたい」も用意します。質問1の回答内容から選択肢を出す場合でも、これらを選べるようにしてください。複数の要因と主な要因を分けることで、「よく挙がるが決め手とは限らない項目」を区別できます。
質問文:応募・選考を続けるか判断する前に、当社についてもっと知りたかった情報はありますか?(複数選択可)
「特になかった」などは、具体的な項目と同時に選ばない設定にします。この質問は、条件そのものへの不満と、情報が届いていなかった問題を分けて検討するためのものです。「給与」と回答されたからといって、説明を増やせば解決するとは限りません。
質問文:当社から次の連絡が来る予定時期について、事前に把握できていましたか?(単一選択)
「対応全体はいかがでしたか」という広い質問より、連絡予定の案内という具体的な運用を点検しやすくなります。実際の通知日や案内文は社内記録でも確認し、候補者の受け止め方とのずれを探します。
質問文:当社の募集情報や選考対応について、改善するとよいと思う点があれば、差し支えない範囲でお聞かせください。(自由記述・任意)
入力欄の近くに「個人名、健康や家庭の事情、他社の機密情報などは記載しないでください」と添えます。自由記述を長く書かないと送信できない設定は避けましょう。回答内容は事実確認の手がかりとして扱い、書かれた内容だけで特定の面接官や担当者を評価しない運用にします。
以下は、辞退の連絡への返信に添えるテンプレートです。角括弧内を自社の情報に置き換え、利用目的や回答の扱いが実際の運用と一致していることを確認してから使ってください。
件名:選考辞退の受付と、任意アンケートのお願い/[会社名]
[氏名]様
[会社名]採用担当の[担当者名]です。
選考辞退のご連絡をいただき、ありがとうございます。ご意向を承りました。
これまで当社の選考にお時間をいただき、ありがとうございました。
今後の募集情報や選考対応を改善するため、全5問のアンケートをお願いしております。
ご協力いただける場合は、以下より差し支えない範囲でお聞かせいただけますと幸いです。
[アンケートURL]
回答は任意で、答えにくい質問は飛ばしていただけます。
回答の有無にかかわらず、辞退の受付は完了しています。
回答の利用目的や取り扱いは、フォーム冒頭の案内をご確認ください。
ご返信は不要です。
これまでのご参加に、改めてお礼申し上げます。
[会社名・採用担当者名・問い合わせ先]
「本当の理由を教えてください」「必ずご回答ください」といった表現は避けます。また、所要時間を記載する場合は、実際に試した時間をもとにしてください。質問が多いのに「1分で完了」と案内すると、期待と実態にずれが生まれます。
アンケートを集計するときは、少なくとも「依頼した人数」「回答を送信した人数」「各設問に回答した人数」を記録します。任意回答では、フォームを送信していても一部の設問が空欄になるためです。
架空の集計例:30人に依頼し、10人が回答を送信。その10人全員が質問1に答え、6人が「給与・待遇」を選んだとします。この場合、依頼に対する回答割合は10人÷30人=約33%、質問1の回答者のうち給与・待遇を挙げた割合は6人÷10人=60%です。「辞退者全体の60%が給与を理由に辞退した」とは言えません。
もし質問1に答えたのが8人なら、その設問を分母にする割合は6人÷8人=75%です。「6人/設問回答者8人、未回答2人」のように、割合だけでなく人数と未回答数も示すと読み違いを減らせます。複数選択の質問では、選択肢ごとの割合の合計が100%を超えることもあります。
回答しなかった人の理由は、このアンケートからは分かりません。回答した人が辞退者全体を代表しているとも限らないため、集まった声は改善の仮説を立てる材料として扱います。AAPORも、回答率だけでは未回答による誤差の有無や大きさは判断できないと説明しています。
設問の空欄、「特になかった」、「回答を控えたい」は別々に数えます。数件の回答で担当者や部署の順位をつけたり、前月から数ポイント動いたことだけで施策の成功を判断したりしないことも大切です。
職種、選考段階、募集時期が大きく違えば、辞退理由の構成も変わり得ます。比較するときは、対象や集計期間を明記します。候補者情報とひも付けて分析する場合は、その扱いを事前の案内と合わせてください。匿名で集める場合は無理に個人へひも付けず、少人数の細分化によって回答者が推測される集計も避けます。
集計資料を作るだけで終わらせず、「得られた声 → 確かめたいこと → 変える運用 → 確認する指標」をセットにします。以下は改善の組み立て方の例であり、実在企業の成果事例ではありません。
求人票に、配属後の業務と最初に任せる仕事が書かれているかを確認します。抽象的な「幅広く活躍」だけなら、一日の仕事の流れや担当範囲を追記します。採用担当と現場責任者が内容をそろえ、面接で繰り返し聞かれる質問や、仕事内容に関する不足情報の回答を追います。
条件そのものの不一致と、説明の不足を分けて確認します。実際の給与水準が希望と合わないなら、説明資料だけを直しても解決しません。条件を見直せるか社内で検討し、すぐに変更できない場合も、給与の内訳や変動する条件を募集段階で分かりやすく伝えます。
面接後の案内文と送信記録を確認し、「いつまでに、誰から連絡するか」をテンプレートに加えます。予定が変わった際の連絡担当も決めておきましょう。最初は辞退率だけでなく、案内の実施件数や予定日を超えた件数を確認すると、運用が変わったかを点検できます。
会社紹介がイベント写真や制度一覧だけになっていないかを確認します。採用サイトやSNSには、実際のチーム構成、仕事の進め方、先輩社員が入社後につまずいた点とその支援などを載せる方法があります。社内の実態と合っている内容を選び、個別の条件は求人票や面接でも確認できるようにします。
改善の担当者と実施日を一つずつ決め、同時に多くを変えすぎないこともポイントです。施策後の辞退件数が減っても、募集条件や候補者層が変わっていれば、その施策だけの効果とは断定できません。社内の運用記録と候補者の声を合わせて振り返ります。
催促を増やす前に、質問数、必須項目、ログインの要否、スマートフォンでの入力しやすさを見直します。回答が少なくても、連絡にかかった日数や候補者から既に寄せられた質問など、社内にある記録から点検を始められます。少ない回答を無理に割合へ置き換える必要はありません。
アンケートを反論や説得の場にしないことが基本です。まずは必要な担当者だけで内容を確認し、案内文や選考記録と照らし合わせます。別途問い合わせとして対応する必要がある内容は、自社の窓口と運用方針に沿って扱います。回答を社内で共有する際も、個人が分かる記述はそのまま広げないようにします。
共通の質問を残しつつ、募集の実態に合わせて選択肢を調整できます。例えば、新卒では配属や研修、中途では担当範囲や入社時期について、説明が足りていたかを点検します。「新卒だからこの理由のはず」と決めつけず、回答と実際の選考過程から確認してください。
選考辞退アンケートの価値は、理由を集めた件数だけでは決まりません。任意で答えやすい質問にし、回答者数と未回答を区別して読み、求人票・面接・連絡対応のどこを変えるかまで決めることで、採用活動を見直す材料になります。
まずは「どの場面の何を改善したいか」を一つ決め、質問と回答の扱いを整えるところから始めましょう。辞退した方の決断を尊重しながら、寄せられた声を、次に応募する方が判断しやすい情報と対応に変えていくことが大切です。
採用サイトやSNSで何を発信すればよいか、候補者の疑問にどう応えるかを整理したい方は、こちらからご相談ください。

記事公開日 : 2026/09/28

記事公開日 : 2026/09/26
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