
なぜ求人票より社員のSNS投稿が気になるのか?
記事公開日 : 2026/09/18
記事公開日 : 2026/10/06
社長の好きなコンビニスイーツは知っている。
部長がダンスを覚えるのに3週間かかったことも知っている。
経理の田中さんが、実はめちゃくちゃ歌がうまいことまで知っている。
でも、この会社が何をしているのかは知らない。
情報はたくさん受け取っている。
ただ、会社概要だけが巧妙に隠されている。
今回は、そんな企業SNSの「ちょっと待って」を集めました。運用している人には心当たりがあり、見ている人にはツッコミどころがある、企業SNSあるある7選です。
※記事内の人物・会話は、あるあるをもとにした架空の設定です。
好きな食べ物はカレー。
休日はサウナ。
実は涙もろい。
社員からのサプライズで、だいたい泣く。
もう社長と旅行に行けそうなくらい詳しい。
一方、事業内容は「新しい価値を創造する」。
そこだけ急に霧が深い。
親しみが湧く投稿は楽しい。だからこそ、プロフィールに「何をしている会社か」が一言あるとうれしい。
社長の推しアイスを知った勢いで会社に興味を持ったのに、事業内容の解読で止まりたくないのだ。
「今日は、普段の職場の雰囲気を撮ります!」
そう言われて始まった撮影。
「ここで笑ってください」
「もう少し自然に」
「一回、驚いてから笑えます?」
「じゃあ、今の自然な感じでもう一回!」
自然、テイク8。
いつもは「了解です」で終わる会話が、カメラの前では「ありがとうございます! とても勉強になります!」になる。
昨日まで隣の席にいた先輩が、急に研修動画の登場人物になった。
きれいに話そうとするほど、いつもの空気が遠ざかっていく。そんなときは、セリフを決めるより「最近、仕事でちょっと困ったことは?」と聞くほうが、その人らしい言葉を拾いやすいかもしれない。
「プリンターが私のときだけ止まります」でもいい。少なくとも、本人の言葉である。
上司「いつもスマホ見てるよね? SNS任せていい?」
社員「見てはいますけど……」
上司「じゃあ得意だね!」
この理屈が通るなら、毎週ラーメンを食べている私は、来月から店を出せる。
食べるのと、スープを仕込むのは別の能力です。
SNSも、見る側と作る側ではやることが違う。
企画を考える。撮影する。編集する。文章を書く。確認を取る。投稿する。反応を見て次を考える。
それが全部「スマホ得意だよね」の箱に入っている。箱が小さすぎる。
担当をお願いするなら、作業時間と相談相手もセットにしてほしい。若さは、動画編集ソフトの有料プランではない。
担当者が動画を作る。
上司が確認する。
別の部署が確認する。
最後に社長が確認する。
途中で「この“めっちゃ”は“非常に”にできない?」という修正が入る。
最終的に完成したのは、流行の音源に乗せて「非常におすすめしております」と伝える動画。
急に銀行の窓口みたいになった。
ようやく公開できるころには、担当者が参考にした流行は次の流行に追い越されている。
もちろん、間違った情報や映ってはいけないものの確認は大切。ただ、「事実の確認」と「私はこの言い方が好き」を全部同じ重さで扱うと、確認作業が終わらない。
確認する人とポイントを先に決めておくだけでも、担当者の「まだですか……」は減らせそうだ。
構成を練った。
撮影も頑張った。
字幕も直した。
BGMもこだわった。
そんな会社紹介動画を、休憩中に撮った猫の動画が軽やかに追い抜いていく。
猫は企画書を書いていない。
承認も取っていない。
ただ、箱に入っただけだ。
こちらは会議室に何時間も入っていたのに。
でも、そこで「もう猫だけ投稿しよう」と決めるのは早い。
猫を見に来た人に、どんな会社なのかも知ってもらいたい。プロフィールや固定した投稿に会社の紹介があれば、興味を持った人が次に見る場所を用意できる。
猫は入口をつくってくれた。会社説明まで猫に任せるのは、さすがに業務範囲が広すぎる。
9:00 出社。おしゃれなエントランス。
10:00 パソコンで作業。
12:00 同僚とランチ。
14:00 ミーティング。
16:00 カフェで作業。
18:00 退社。
素敵な一日だった。ランチのお店は保存した。
ところで、何の仕事をしていたんだろう。
「パソコンで作業」と「ミーティング」は、世の中のかなりの仕事に当てはまる。これだけでは、転職先を探しているのか、お昼のお店を探しているのか分からなくなってしまう。
たとえば「お客様への提案資料を作成」「先輩に見てもらって、説明の順番を修正」と、ひとつ具体的に書いてみる。
それだけで、画面の向こうに仕事が見えてくる。
カフェラテの泡も気になるが、入社を考える人としては、その横で何を頑張っているのかも知りたい。
投稿「採用情報はプロフィールへ!」
プロフィール「詳しくは公式サイトへ!」
公式サイト「私たちは未来を創造します」
募集要項、どこ。
メニューを開く。会社情報を見る。ページの下までスクロールする。やっと「採用情報」を見つける。
応募する前から、会社のサイトに詳しくなっている。もはや軽い入社研修だ。
SNSを見て「ここ、ちょっといいかも」と思ってくれた人には、その勢いのまま仕事内容や条件を確認してもらいたい。
募集している職種のページへ直接進めるようにする。応募方法を分かりやすく書く。スマホからリンクをたどって確かめる。
採用につなげたいなら、最後に必要なのは大きな仕掛けより「迷わず着ける道」かもしれない。
応募ボタンを見つけた達成感で、満足して帰ってもらうわけにはいかない。
社長が踊ってもいい。
社員の好きなお菓子を聞いてもいい。
猫が全部持っていく日があってもいい。
その投稿をきっかけに、知らなかった会社を身近に感じることはある。
そこからもう少し興味を持った人のために、「何をしている会社か」「どんな人と働くのか」「仕事について、どこを見れば分かるのか」を用意しておきたい。
面白い投稿で笑ったあとに、仕事の話もちゃんと分かる。そんなアカウントなら、採用の接点としても考えやすくなる。
というわけで、社長。
次の撮影も、よろしくお願いします。
踊る前に、会社名だけお願いします。

記事公開日 : 2026/09/18

記事公開日 : 2026/09/16
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