Z世代は見てる！採用動画で応募を増やす企画のコツと参考にしたい企業事例10選

Z世代の採用を成功させる上で、採用動画の活用は欠かせない要素となっています。多くの企業が新卒採用のプロモーションに動画を取り入れていますが、その効果を最大化するためには、ターゲットであるZ世代の心に響く企画が必要です。

この記事では、Z世代に効果的な採用動画を企画するコツから、具体的な活用方法、参考にしたい企業事例までを網羅的に解説します。

テキストよりも動画で情報を集めるのがZ世代の当たり前

Z世代は、物心ついた頃からインターネットやスマートフォンが身近にあり、YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームに日常的に触れています。そのため、テキストを読んで情報を得るよりも、動画視聴を通じて短時間で視覚的・聴覚的に情報をインプットすることを好む傾向が強いです。

就職活動においても、企業の公式サイトや求人情報の文章を読むだけでなく、SNSなどで企業の公式動画を探し、情報収集を行うのが当たり前になっています。採用活動において動画を用意することは、彼らが求める情報提供の形式に応えるための基本的な施策といえます。

企業のリアルな雰囲気や社風が伝わりやすい

動画は、テキストや写真だけでは伝えきれない企業の「空気感」を届けられる点が大きな強みです。社員の表情や声のトーン、オフィス内の活気、社員同士の何気ないコミュニケーションの様子など、映像には多くの非言語的情報が含まれます。

Z世代は、企業選びにおいて給与や待遇といった条件面だけでなく、企業のカルチャーや人間関係、社風が自分に合うかどうかを非常に重視する世代です。動画を通じてリアルな雰囲気を伝えることで、学生は「この会社で働く自分」を具体的にイメージしやすくなります。

入社後の働き方を具体的にイメージできる

採用動画は、入社後のミスマッチを防ぐ上でも重要な役割を果たします。例えば、社員の一日に密着したドキュメンタリー風の動画や、具体的なプロジェクトの進行風景を見せることで、学生は仕事内容や働き方をリアルに理解できます。

業務内容だけでなく、会議の進め方、使用しているツール、オフィスの設備、休憩時間の過ごし方などを映像で見せることにより、入社後に「思っていたのと違った」と感じるギャップを最小限に抑えられます。これは、企業と学生の双方にとって、納得感のあるマッチングを実現するために不可欠です。

動画の目的と見てほしいターゲットを明確にする

動画制作に着手する前に、「誰に、何を伝えて、どうなってほしいのか」を具体的に定義することが重要です。例えば、まだ自社を知らない学生層への認知度向上が目的ならば、インパクトや面白さを重視した企画が考えられます。

一方で、すでに自社に興味を持っている学生に対して企業理解を深めてもらうことが目的なら、事業内容や社員の働き方をじっくり見せる内容が適しています。ターゲットの学年や専攻、価値観などを具体的に設定し、そのターゲットに最も伝えたいメッセージは何かを絞り込むことで、動画の方向性が定まり、より効果的なコンテンツになります。

スマホでの「ながら見」を想定してテロップを必ず入れる

Z世代の多くはスマートフォンで動画を視聴します。通学中の電車内やカフェなど、音声を出せない環境で視聴することも少なくありません。そのため、音声がなくても内容が理解できるように、発言内容や重要なポイントをテロップとして表示することは必須です。

また、テロップは情報を補完するだけでなく、デザインや表示のタイミングを工夫することで、動画のテンポを良くしたり、視聴者の視線を誘導したりする効果も期待できます。BGMや効果音と合わせて、音声オフでの視聴体験も考慮した編集を心がけるべきです。

冒頭で惹きつけ、倍速視聴でも内容がわかる構成にする

数多くの動画コンテンツに日常的に触れているZ世代は、面白くないと感じた動画はすぐに離脱する傾向にあります。そのため、動画の冒頭の数秒間で「この先も見たい」と思わせる工夫が不可欠です。例えば、インパクトのある映像や、視聴者が共感できるような問いかけから始めるなどの手法が有効です。

また、彼らは時間を効率的に使いたいという意識から、動画を倍速で視聴することも珍しくありません。倍速再生でも内容が理解できるよう、要点をまとめたテロップを効果的に使用したり、話すスピードや構成を簡潔にしたりするなど、テンポの良さを意識した編集が求められます。

良い面だけでなく、仕事の厳しさや課題も正直に伝える

企業の魅力や働きやすさといったポジティブな側面だけをアピールする動画は、かえってZ世代に不信感を与えてしまう可能性があります。彼らはインターネットを通じて多くの情報に触れているため、企業の良い面ばかりを並べたコンテンツを「広告的」だと感じ、敬遠する傾向があります。

あえて仕事の厳しさや、会社が抱えている課題、困難を乗り越えたエピソードなどを正直に伝えることで、企業の誠実さや透明性を示すことができます。こうしたリアルな情報は、学生に深い共感と信頼感を与え、入社後のミスマッチを防ぐことにも貢献します。

社員のリアルな声で「自分らしく働けるか」を伝える

Z世代は、組織への帰属意識よりも個人の価値観や「自分らしさ」を大切にする傾向が強いです。そのため、就職活動においても「その会社で自分らしくいられるか」「成長できる環境か」を重視します。人事担当者や役員が語る公式見解だけでなく、実際に現場で働く若手社員のリアルな声こそが、彼らの心に響きます。

インタビューや座談会の形式で、仕事のやりがい、入社の決め手、職場の雰囲気、プライベートとの両立などについて本音で語ってもらうことで、視聴者は親近感を抱き、自分がその会社で働く姿を具体的にイメージしやすくなります。

YouTubeやTikTokなどのSNSで認知を拡大する

Z世代が日常的に利用するYouTubeやTikTokなどのSNSは、企業の認知度を向上させる上で非常に効果的なプラットフォームです。特に、短い尺でテンポの良いショート動画は、まだ自社を知らない潜在層にアプローチするのに適しています。社員紹介やオフィスツアーなどを切り取って投稿したり、ターゲットを絞って動画広告を配信したりすることで、効率的に多くの学生にリーチすることが可能です。

各SNSの特性を理解し、プラットフォームに合わせた動画フォーマットや内容を工夫することが成功の鍵となります。継続的な情報発信は、企業のファンを増やすことにもつながります。

自社採用サイトや求人媒体で企業理解を深める

自社の採用サイトやナビサイトなどの求人媒体は、企業に興味を持った学生がより詳しい情報を求めて訪れる場所です。これらの媒体に採用動画を掲載することで、テキストだけでは伝わりにくい社風や事業の魅力を補完し、学生の企業理解を一層深めることができます。

例えば、事業内容紹介ページには具体的な仕事内容がわかる動画を、社員紹介ページにはインタビュー動画を埋め込むなど、コンテンツと関連性の高い動画を配置することで、情報の説得力が増し、学生の志望度を高める効果が期待できます。

会社説明会やオンラインイベントで惹きつける

会社説明会やインターンシップ、オンラインイベントなどの採用活動においても、動画は強力なツールとなります。イベントの冒頭で企業のビジョンや雰囲気が伝わる動画を流すことで、参加者の心を掴み、場の空気感を醸成するアイスブレイクとして機能します。

また、オンライン説明会では、オフィスツアー動画を流して実際に社内を歩いているような体験を提供したり、特定の部署の仕事紹介動画をコンテンツの一部として活用したりすることも可能です。言葉だけの説明よりも、映像を交えることで参加者の集中力を維持し、満足度を高めることができます。

社員の1日に密着して働くイメージを具体化する動画

ある特定の職種の社員の出社から退社までを追う、Vlog（ビデオブログ）形式の動画は、学生が働くイメージを具体化するのに非常に効果的です。

朝の準備、通勤、始業前のルーティン、会議の様子、ランチ、午後の業務、同僚とのコミュニケーション、そして退社後の過ごし方までを映し出すことで、仕事内容だけでなく、一日のスケジュール感や職場のリアルな人間関係が伝わります。過度な演出を避け、ありのままの日常を見せることで、視聴者は自分が入社した場合の働き方をリアルに想像しやすくなります。

若手社員の対談で本音やリアルな人間関係を見せる動画

年齢の近い若手社員同士がリラックスした雰囲気で語り合う対談形式の動画は、学生が共感しやすいコンテンツの一つです。司会者を置かず、社員同士で自由に話してもらうことで、「入社を決めた理由」「仕事のやりがいや失敗談」「会社の好きなところ・改善してほしいところ」といったリアルな本音を引き出しやすくなります。

飾らない言葉で語られるエピソードや、社員同士の自然なやり取りを通じて、企業の風通しの良さや人間関係の温かさが伝わり、視聴者は親近感を抱きます。

企業の理念やビジョンをドラマ仕立てで伝える動画

社会にどう貢献したいか、何を目指しているのかといった企業の理念やビジョンは、抽象的で伝わりにくいテーマです。こうした壮大なテーマを伝える手法として、ストーリー性のあるドラマ仕立ての動画が有効です。

実際の開発秘話や顧客とのエピソードを基にした物語を通じて、企業の事業が社会や人々の生活にどのように役立っているかを感情的に描きます。視聴者は主人公に感情移入しながら視聴するため、企業の想いが深く心に刻まれ、事業に対する共感を醸成することができます。

普段は見えない仕事の裏側や専門性を紹介する動画

特にBtoB企業や専門性の高い技術職など、学生にとって仕事内容がイメージしづらい業種では、普段は見ることができない仕事の裏側を見せる動画が効果を発揮します。製品が完成するまでの製造工程、一つのサービスが生まれるまでの開発現場、研究職の研究室の様子などを映像で見せることで、事業の面白さや仕事の奥深さを伝えることができます。

社員がどのようなこだわりや情熱を持って仕事に取り組んでいるかを紹介し、専門分野への興味関心を喚起します。

オフィスツアーで社内の雰囲気や設備をアピールする動画

社員がカメラを持ち、視聴者を案内するようにオフィスを紹介するツアー形式の動画は、オンラインでの企業研究が主流となった現在、特に人気の高いコンテンツです。単に執務スペースを映すだけでなく、社員食堂やカフェスペース、リフレッシュルーム、ユニークな会議室など、企業の働きやすさやカルチャーを象徴する設備を紹介することがポイントです。

実際にその場で働いている社員に突撃インタビューを行うなど、動きのある演出を加えることで、活気ある社内の雰囲気をリアルに伝えることが可能です。

あえて企業の弱みや課題を公開して誠実さを示す動画

企業のポジティブな側面だけでなく、あえて自社が抱える課題や弱みを正直に語る動画は、Z世代の信頼を獲得する上で有効なアプローチです。例えば、業界内での現在の立ち位置や今後乗り越えるべき事業上の課題などを経営層や社員が真摯に語ることで、企業の透明性や誠実な姿勢を示すことができます。

課題解決に向けて全社で取り組んでいる姿を見せることで、学生に対して一緒に会社を成長させていきたいという挑戦意欲をかき立てる効果も期待できます。

ショート動画を使いテンポよく企業の魅力を伝える動画

TikTokやYouTubeショート、Instagramリールなどで活用される、30秒から1分程度の短い縦型動画は、スマートフォンの隙間時間で気軽に見てもらえる点が魅力です。例えば、「若手社員に聞く一問一答」や「30秒でわかるオフィスツアー」「数字で見る〇〇（企業名）」など、一つのテーマに絞って情報を簡潔にまとめることがポイントです。

複数のショート動画をシリーズで投稿することで、様々な角度から企業の魅力をテンポよく伝え、継続的に視聴者の興味を引きつけることができます。

内定者や新入社員の研修風景を追ったドキュメンタリー動画

学生にとって、入社後の教育体制や同期との関係性は大きな関心事です。内定者研修や新入社員研修に密着したドキュメンタリー動画は、こうした不安を払拭し、安心感を与えるのに役立ちます。

研修で課題に取り組む真剣な表情や、同期と協力し合う姿、壁にぶつかりながらも成長していく様子を追うことで、視聴者は入社後の自分の姿を重ね合わせることができます。手厚い教育制度や、共に成長できる仲間がいる環境をアピールすることで、企業の育成に対する姿勢を伝えることが可能です。

経営者が自らの言葉で会社の未来や想いを語る動画

企業のトップである経営者が、自らの言葉で会社のビジョンや事業への想いを熱く語る動画は、学生の心を動かす強いメッセージ性を持ちます。企業の成り立ちや創業時のエピソード、今後の事業展開、そして未来の仲間となる学生への期待などを語ることで、経営者の人柄や熱意がダイレクトに伝わります。

企業の進むべき方向性や価値観に共感した学生は、より強い入社意欲を抱くようになります。台本を読むような形式的なものではなく、誠実で情熱的な語り口が重要です。

多様な働き方やユニークな福利厚生を紹介する動画

ワークライフバランスを重視するZ世代にとって、柔軟な働き方ができるかどうかは企業選びの重要な基準です。リモートワークやフレックスタイム制度、時短勤務といった多様な働き方の実例を、実際にその制度を利用している社員へのインタビューを通じて紹介します。

また、社内サークル活動やユニークな休暇制度、自己啓発支援といった福利厚生を映像で見せることで、社員の生活を大切にする企業の姿勢をアピールできます。制度の紹介だけでなく、それによって社員の働き方がどう豊かになっているかを伝えることが重要です。

コストを抑えてスピーディーに始めるなら内製がおすすめ

内製で動画を制作する最大のメリットは、コストを抑えられる点と、制作のスピード感です。近年はスマートフォンのカメラ性能が向上し、無料または安価な動画編集アプリも充実しているため、専門的な機材がなくても一定のクオリティの動画を制作できます。

社員インタビューやオフィス紹介など、社員の手作り感を活かしたリアルなコンテンツは、かえって学生に親近感を与える場合もあります。企画から公開までを自社で完結できるため、外部との調整に時間がかからず、スピーディーな情報発信が可能です。

クオリティを重視し戦略的に進めるなら制作会社への外注

企業のブランディングや競合他社との差別化を意識した質の高い動画を制作したい場合は、制作会社への外注が適しています。プロのクリエイターは、採用市場のトレンドやZ世代のインサイトを踏まえた上で、企業の魅力を最大限に引き出すための企画や演出を提案してくれます。

撮影、編集、音響効果など、各工程において専門的な技術を用いるため、視聴者の心に響く映像クオリティが期待できます。制作にコストと時間はかかりますが、採用戦略の核となるような、長期的に活用できる資産としての動画を手に入れることができます。