
地方企業と都市部人材をつなぐ副業採用|成功のコツとおすすめサービス
記事公開日 : 2026/08/06
記事公開日 : 2026/08/07
世の中には、採用に苦戦している企業がたくさんある。
給与を上げても応募が来ない。
休日を増やしても来ない。
採用サイトをおしゃれにしても来ない。
社員インタビューで全員に腕を組ませても来ない。
そんな中、圧倒的に労働環境が悪いのに、一定数の志願者を集め続ける組織がある。
調査兵団だ。
仕事内容は、壁の外に出て巨人と戦うこと。
高所作業あり。
長距離移動あり。
命の危険あり。
巨人あり。
求人票の「仕事内容」欄に、巨人がいる。
普通の会社なら、その時点で掲載審査に落ちる。
調査兵団は、巨人が支配する壁外を調査し、多くの犠牲を払いながら人類の可能性を探り続ける組織として描かれている。
冷静に考えると、「離職率が高い」という表現では弱い。
離職する前に帰ってこない。
人事が追うべき数字も、
「入団3年以内離職率」
ではなく、
「第57回壁外調査後生存率」
である。
Excelを開くたびに人事が泣く。
それでも、なぜ志願者が出るのか。
調査兵団には、現代企業が採用で苦戦する理由と、人が組織に集まる理由の両方が詰まっている。
求人条件だけなら、確実に応募しない。
それなのに、人は集まる。
この組織を企業として見ると、「理念」が採用を変える理由がよく分かる。
まず、調査兵団の求人条件を整理したい。
募集職種。
壁外調査スタッフ。
主な仕事内容。
・巨人の生態調査
・壁外地域の探索
・人類の活動領域拡大
・立体機動装置を使用した戦闘
・仲間が巨人に食べられた際の精神的ケア
最後だけ急に人事っぽいが、おそらく制度は整っていない。
応募資格。
・訓練兵団を卒業した方
・高所での移動に抵抗がない方
・巨人を見ても勤務を継続できる方
・人類の未来に関心がある方
・死ぬ可能性を「まあ仕方ない」と処理できる方
福利厚生。
・制服貸与
・マント貸与
・馬あり
・立体機動装置支給
・壁外勤務手当、おそらくなし。
年間休日については不明。
残業時間も不明。
ただし、巨人が来た場合、定時という概念は消える。
リモートワークもできない。
そもそも勤務地が壁の外だ。
採用サイトに「アットホームな職場です」と書いてあっても、ホームの外へ出ていく。
条件だけで考えれば、絶対に選ばれない組織である。
それでも志願者が出る。
つまり、人は条件だけで仕事を選んでいるわけではない。
もちろん給与や休日は重要だ。
働きやすさも必要だ。
しかし最後に人の心を動かすのは、
「ここで働く意味がある」
と思えるかどうかである。
調査兵団は、その一点が圧倒的に強い。
調査兵団最大の強みは、組織の存在意義が明確なことだ。
なぜ壁の外へ行くのか。
なぜ危険を冒すのか。
なぜ仲間が倒れても前へ進むのか。
すべてが、人類の自由と未来につながっている。
現代企業で言えば、ミッションやパーパスにあたる部分だ。
企業サイトを見ると、よくこう書いてある。
「私たちは、新しい価値を創造します。」
何の価値なのかはわからない。
「社会の未来に貢献します。」
どう貢献するのかはわからない。
「すべての人を笑顔にします。」
経理まで笑顔にするのは難しい。
理念が抽象的すぎると、社員は自分の仕事と結び付けられない。
一方、調査兵団は違う。
自分たちが壁の外へ進まなければ、人類は何も知ることができない。
目的と仕事が一直線につながっている。
朝礼で社訓を唱えなくても、調査兵団の隊員は全員が組織の目的を理解している。
というより、忘れた瞬間に巨人が来る。
理念の浸透方法としては強すぎる。
もちろん企業は、ここまで命を懸ける必要はない。
ただし、社員が
「自分は何のためにこの仕事をしているのか」
を説明できる状態はつくるべきだ。
理念が言葉だけで終わらず、日々の仕事と結び付いている企業ほど、人は納得して働ける。
調査兵団には、エルヴィン、リヴァイ、ハンジといった強烈なリーダーがいる。
この組織の上司たちは、とにかく現場へ出る。
会社では、よくこんな言葉が飛び交う。
「現場を大切にしよう」
「お客様目線で考えよう」
「まずは行動しよう」
そう言っている本人は、会議室にいる。
調査兵団は違う。
団長も兵長も普通に最前線にいる。
部下に危険な仕事だけ任せて、自分は安全な場所からチャットを送ることはない。
「進捗どうですか?」
と送ってくる上司自身が、一番巨人に近い。
リーダーが自分と同じ危険を背負っているから、部下もついていく。
これは企業でも同じだ。
大変な仕事を現場へ押し付ける上司と、必要な時に一緒に動く上司では、信頼がまったく違う。
理念は、言葉だけでは浸透しない。
誰が、その理念を行動で示しているかが重要になる。
調査兵団では、エルヴィンもリヴァイもハンジも、自ら危険な場所へ向かう。
だから部下も納得してついていく。
ただし、エルヴィン級の意思決定を一般企業で再現すると、労務から止められる。
「社員全員で突撃します。」
は禁止である。
調査兵団を選ぶことは、単なる配属先の選択ではない。
「自分は何を大切にする人間なのか」
を示す選択でもある。
安全を優先するのか。
現状維持を選ぶのか。
危険でも未知の世界へ進むのか。
調査兵団への志願には、その人の価値観が表れる。
現代の採用でも、これは重要だ。
給与や休日が同じ会社はたくさんある。
事業内容も、仕事内容も似ている。
その中で求職者が最後に見るのは、
「この会社を選ぶことが、自分らしいと思えるか」
という部分だ。
どんな未来を目指しているのか。
どんな人たちが働いているのか。
何を良しとして、何を良しとしないのか。
会社の価値観が明確であるほど、そこへ共感する人が集まる。
調査兵団は採用ターゲットがはっきりしている。
安全に働きたい人は最初から来ない。
休日を重視する人も来ない。
巨人が苦手な人も来ない。
かなり応募者は減る。
だが、残った人の志望度は異常に高い。
母集団形成としては最悪だが、カルチャーフィットは非常に強い。
企業も、誰にでも好かれようとするより、「この会社に合う人」を明確にした方が、結果として強い採用につながる。
調査兵団では、一人の判断が仲間の生死を左右する。
そのため、組織内の信頼関係が非常に重要になる。
現代企業でも、仕事の満足度は業務内容だけでは決まらない。
誰と働くのか。
困った時に助けてもらえるか。
自分の仕事を信頼して任せてもらえるか。
仲間と同じ方向を向けているか。
こうした要素が、働き続ける理由になる。
調査兵団は、仲間とのつながりが強い。
強いのだが、送別会の頻度も高い。
人員補充のスピードが追いついているのか心配になる。
人事担当がいるなら、採用計画は毎月未達だろう。
「今月10名採用しました。」
「何名在籍していますか?」
「今は4名です。」
経営会議が止まる。
それでも組織が崩れないのは、自分たちの行動を次の世代につなげようとする意識があるからだ。
自分一人の成果ではなく、仲間が積み重ねたものを前へ進める。
この感覚が、強い組織をつくっている。
企業でも同じだ。
個人プレーだけで成果を出す組織よりも、知識や経験が受け継がれる組織の方が、長く強くあり続ける。
ここで注意したい。
調査兵団を企業のお手本にしすぎてはいけない。
社員に自己犠牲を求める。
長時間働くことを美化する。
使命感を理由に待遇を軽視する。
「やりがいがあるから給与は低くていい」と考える。
これは全部ダメだ。
会社説明会で、
「厳しい環境ですが、成長できます。」
と言いながら巨人の写真を出してはいけない。
求職者は帰る。
企業が学ぶべきなのは、命を懸ける覚悟ではない。
働くことへの納得感だ。
なぜこの会社が存在するのか。
自分の仕事が誰に役立つのか。
なぜこの仲間と働くのか。
この会社で何を実現できるのか。
ここをきちんと伝える。
そのうえで、給与、休日、安全、育成、評価制度を整える。
理念だけでも人は残らない。
待遇だけでも強い組織にはならない。
両方あることが大事だ。
調査兵団には、圧倒的な理念がある。
企業には、そこへ労働基準法を追加してほしい。
調査兵団は、働きやすい組織ではない。
離職率以前に、生存率を気にしなければならない。
福利厚生も弱い。
勤務地も危険。
業務内容には巨人が含まれる。
それでも志願者が出るのは、
「何のために働くのか」
が圧倒的に明確だからだ。
組織の目的があり、
それを行動で示すリーダーがいて、
同じ価値観を持つ仲間がいる。
だから人が集まる。
企業が採用で伝えるべきなのも、求人条件だけではない。
この会社は何を目指しているのか。
ここで働くことに、どんな意味があるのか。
誰と、どんな未来をつくるのか。
それを自分たちの言葉で伝える必要がある。
ただし、調査兵団の求人票をそのまま参考にしてはいけない。
「人類の未来を切り拓く仕事です。」
「若手から大きな裁量を持てます。」
「常に緊張感のある職場です。」
ここまではベンチャー企業に見える。
その下に、
「勤務地:壁外」
「主な取引先:巨人」
「退職理由:捕食」
と書いてあったら、応募ボタンは押さない方がいい。

記事公開日 : 2026/08/06

記事公開日 : 2026/08/04
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