
なぜ『推し』がいると仕事を頑張れる?|採用にもつながる“好き”の力
記事公開日 : 2026/09/12
記事公開日 : 2026/09/16
「採用求人を出しているのに、なかなか応募が来ない」。そんな悩みを抱える企業は少なくありません。給与や福利厚生を見直したり、求人広告を改善したり、仕事内容を分かりやすくしたり。採用活動ではさまざまな施策が行われていますが、そもそもその会社が「知られていない」という状態では、どれだけ求人の魅力を伝えても応募につながりにくいかもしれません。
例えば、転職を考えている人が求人サイトを見ていて、知らない会社Aと、以前SNSで見たことがある会社Bがあったとします。仕事内容や条件が似ていた場合、「なんとなく知っている会社」のほうが気になることはないでしょうか。「前にSNSで見たことがある」「社員が楽しそうだった」「この会社、よくSNSに出てくるな」。こうした小さな接点が、企業への興味につながることがあります。
つまり、採用は「求人を出してから始まる」のではありません。その会社を知ってもらい、興味を持ってもらい、少しずつ好きになってもらう。その積み重ねの先に、「応募してみよう」という行動が生まれます。今回は、「知らない会社にはなぜ応募しにくいのか?」という視点から、SNS時代の採用ブランディングについて考えてみます。
目次
就職や転職をするとき、世の中にあるすべての会社を調べる人はほとんどいません。多くの場合、自分が知っている会社や、求人サイトなどでたまたま見つけた会社の中から、応募する企業を選んでいきます。
つまり、企業側からすると、「応募してもらう前に、“会社を知ってもらう”必要がある」ということです。どれだけ魅力的な仕事をしていても、どれだけ働きやすい環境があっても、その存在を知られていなければ比較対象にすらなりません。
これは、お店選びにも少し似ています。街を歩いていて、存在を知らなかった飲食店に突然入ることは、それほど多くないでしょう。一方で、SNSで何度も見かけていたお店なら、「ここ、前に見たことある」「ちょっと気になる」「今度行ってみようかな」と、興味を持つきっかけが生まれます。
採用も同じです。まず「知っている会社」になる。その第一歩が、採用活動では意外と重要なのです。
では、「知ってもらう」ために求人サイトへ情報を載せれば十分なのでしょうか。もちろん、求人票は採用に欠かせません。給与、勤務地、勤務時間、休日、仕事内容、福利厚生など、応募を検討するために必要な情報がまとまっています。
しかし、求人票だけでは伝えにくいものがあります。それが、「その会社で働く人や空気感」です。
例えば、「社員同士の仲が良い」「若手が活躍している」「風通しの良い職場」「自由な社風」と書かれていても、それだけでは実際の雰囲気までイメージするのは難しいかもしれません。なぜなら、こうした言葉は多くの企業が使うことができるからです。
そこで重要になるのが、具体的な「見える情報」です。社員が実際に働いている姿、社内で起きている出来事、社員同士の会話、仕事中の様子、社内イベント、会社独自の制度。こうした情報があると、「どんな人が働いている会社なのか」が少しずつ見えてきます。そして、この「見える化」に向いているのがSNSです。
企業がSNSを運用するとき、「求人情報を投稿しなければ」と考えてしまうことがあります。もちろん、求人情報を発信することも大切です。しかし、採用SNSの役割はそれだけではありません。
むしろ重要なのは、まだ転職や就職を考えていない人にも会社を知ってもらうことです。
例えば、SNSを見ているときに、「営業社員の1日に密着」「新入社員にインタビューしてみた」「社長に聞いてみた!」「会社のイベントに潜入」といった投稿が流れてきたとします。
そのときは、応募するつもりなんてなくても構いません。「なんか面白い会社だな」と思ってもらえれば、それだけで最初の接点になります。
その後も投稿を見ているうちに、「この会社、結構好きかも」「社員の雰囲気が良さそう」「こんな会社で働くのも楽しそう」と、少しずつ興味が変化していく可能性があります。
つまりSNSは、いきなり「応募」というゴールを目指すのではなく、知らない → 知っている → 気になる → 興味がある → 応募してみたいという流れをつくるための場所なのです。
採用活動では、「応募数」という数字が注目されがちです。しかし、応募という行動が生まれるまでには、いくつもの段階があります。
まず会社を知る。そして、興味を持つ。仕事内容を調べる。社員や会社の雰囲気を知る。「自分に合っているかも」と思う。そこで初めて、「応募してみよう」という行動につながります。
SNSは、この中でも特に「知る」「興味を持つ」という段階に強いメディアです。
例えば、転職を考え始めたタイミングで、以前からSNSで見ていた会社を思い出したとします。「あの会社、求人出てるかな?」と検索する。求人を見て、「仕事内容も自分に合っていそう」「SNSで見ていた雰囲気とも違わない」と思えば、応募につながるかもしれません。
ここで重要なのは、SNSを見た瞬間に応募してもらう必要はないということです。数カ月後でも、半年後でもいい。「あの会社、知ってる」と思ってもらえるだけでも、採用活動において大きな意味があります。
では、企業SNSでは何を発信すればいいのでしょうか。給与や休日などの条件を紹介することも大切ですが、それだけでは求人サイトとの差別化が難しくなります。
SNSだからこそ伝えられるのは、もっと人間らしい情報です。例えば、「社員の休日の過ごし方」「仕事終わりの過ごし方」「社内で流行っていること」「社員が好きなもの」「ちょっと変わった福利厚生」「社長や社員の素顔」など。
一見すると採用とは関係なさそうな内容でも、会社の雰囲気を知ってもらうきっかけになります。
例えば、「推し活を応援する制度があります」という投稿を見て、「この会社、社員のプライベートも大切にしてくれるんだ」と感じる人もいるかもしれません。
制度そのものだけではなく、その制度から会社の価値観が見えるのです。
採用ブランディングで大切なのは、「うちの会社にはこんな制度があります」と伝えることだけではありません。「この会社は、社員のことをこう考えています」という部分まで伝えることです。
採用というと、「求人を出して、応募を待つ」というイメージが強いかもしれません。しかし、SNS時代の採用では、その前段階にある「認知」や「興味」も重要になっています。
知らない会社には、そもそも応募するという選択肢が生まれにくい。だからこそ企業は、求人を出す前から会社の存在を知ってもらう必要があります。
SNSで社員の姿を見せる。会社の日常を発信する。仕事の面白さを伝える。独自の制度を紹介する。企業としての考え方を発信する。
そうした投稿を積み重ねることで、「名前を知っている会社」から「気になる会社」へ。そして、「気になる会社」から「働いてみたい会社」へ。少しずつ企業との距離を縮めていくことができます。
採用SNSは、求人広告の代わりではありません。むしろ、求人広告だけでは伝えきれない「会社そのもの」を知ってもらうための場所です。
「応募してください」と直接呼びかけるだけではなく、「こんな会社で働いています」「こんな人たちがいます」「こんな毎日を過ごしています」と、会社の日常を見せていく。その積み重ねが、未来の応募者との接点になります。
そして、ある日転職や就職を考えたとき、「そういえば、SNSでよく見ていた会社があったな」と思い出してもらえる。
その瞬間、これまで「知らない会社」だった企業が、「知っている会社」に変わります。
採用ブランディングとは、応募を直接取りに行くだけではありません。「いつか働きたい」と思ってもらえる会社を、応募する前からつくっておくこと。
SNSが当たり前になった今、そんな長期的な採用活動が、これからますます重要になっていくのではないでしょうか。


記事公開日 : 2026/09/12

記事公開日 : 2026/09/10
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