記事公開日 :  2025/12/16

Z世代のホンネを引き出すカジュアル面談の進め方|目的別の質問例と注意点

Z世代のホンネを引き出すカジュアル面談の進め方|目的別の質問例と注意点

Z世代を対象とした採用活動において、従来の面接とは異なるアプローチとしてカジュアル面談の重要性が増しています。変化する就活のスタイルや価値観に対応するためには、選考の初期段階で候補者と対等な立場で相互理解を深める機会が不可欠です。

この記事では、Z世代の本音を引き出し、効果的なコミュニケーションを築くためのカジュアル面談の進め方を、目的別の質問例や注意点とともに具体的に解説します。

なぜZ世代の採用活動にカジュアル面談が注目されているのか

Z世代の採用でカジュアル面談が重視される背景には、彼らのキャリア観の変化と情報収集手段の多様化があります。終身雇用制度への期待が薄れ、企業と個人が対等な立場で選び合う時代へと変化した影響は大きく、Z世代は企業文化や働き方のリアルな情報を求めています。

一方的な選考ではなく、企業側から積極的に情報を提供し、対話を通じて相互理解を深める場として、カジュアル面談が有効な手法として注目を集めています。

カジュアル面談の前に知っておきたいZ世代の4つの仕事観

Z世代に響くカジュアル面談を実施するためには、彼らが仕事に対して抱く特有の価値観を理解しておくことが前提となります。給与や企業の知名度だけでなく、個人の生活との両立、自身の成長機会、社会への貢献、そして情報の透明性を重視する傾向が顕著です。これらの価値観を把握することで、面談でのコミュニケーションが円滑になり、候補者の心に響く情報提供が可能になります。

ここでは、Z世代の代表的な4つの仕事観について詳しく見ていきます。

プライベートも大切にするワークライフバランスを重視する傾向

Z世代は、仕事と私生活の調和、いわゆるワークライフバランスを非常に重視します。キャリアのためにプライベートを犠牲にするという考え方は過去のものとなり、趣味や自己投資、家族や友人との時間を確保することが、仕事のパフォーマンスを維持・向上させる上で不可欠だと捉えています。

そのため、面談の場では、平均残業時間や有給休暇の取得率、リモートワークやフレックスタイム制度の導入実績といった具体的な数値を正直に伝えることが求められます。単なる制度の紹介に留まらず、社員が実際にどのように制度を活用して働いているか、具体的なエピソードを交えて説明することで、候補者は入社後の働き方を現実的にイメージしやすくなります。

自身のスキルアップにつながるキャリアパスへの高い関心

自身の市場価値を高めることへの意欲が高いZ世代は、就職先を選ぶ際に、その企業でどのようなスキルが身につき、どう成長できるかを重要な判断基準とします。特に技術の進化が著しいエンジニアなどの専門職を希望する層にとっては、新しい知識を習得できる研修制度や、多様なキャリアパスが用意されている環境は大きな魅力です。カジュアル面談では、入社後の具体的な研修プログラム、メンター制度の有無、資格取得支援の内容、そして社内でのキャリアチェンジの事例などを提示することが効果的です。

候補者がどのようなキャリアを希望しているのかをヒアリングし、自社で提供できる成長機会と結びつけて説明することで、入社意欲を高めることができます。

企業の透明性や社会貢献活動への共感

Z世代は、企業の利益追求だけでなく、その事業が社会にどのような価値をもたらしているかという点に強い関心を持ちます。企業の理念やビジョンに共感できるか、社会課題の解決に貢献しているかを重視し、特にSDGsへの取り組みなどは企業選びの大きな要因となります。これは、安定した大企業だけでなく、独自のミッションを掲げるスタートアップを選ぶ際にも共通する価値観です。

カジュアル面談では、自社の事業が持つ社会的意義や、社員が参加できるボランティア活動などの社会貢献活動について具体的に伝えることが有効です。企業のウェブサイトなどで発信する情報に加え、現場で働く社員の生の声を通して伝えることで、より深い共感を得ることが可能になります。

オンラインでの効率的な情報収集とリアルな体験の両立

デジタルネイティブであるZ世代は、企業の公式ウェブサイトやSNS、口コミサイトなど、あらゆるオンラインチャネルを活用して企業情報を効率的に収集します。そのため、企業はオンライン上での透明性の高い情報発信が不可欠です。

しかし彼らは、オンラインの情報のみに依存するのではなく、リアルな接点を通じて得られる情報も同様に重視します。インターンシップやオフィス見学、そしてカジュアル面談といった機会を通じて、文字情報だけでは分からない社風や働く人々の雰囲気を肌で感じたいと考えています。オンラインで得た事前のイメージと、リアルな場で感じた印象に一貫性があることが、企業への信頼感を醸成する上で重要な要素となります。

Z世代に響くカジュアル面談を設計する3つのステップ

Z世代とのカジュアル面談を有意義なものにするためには、事前の設計が極めて重要です。企業側が一方的に有利な立場から話を進めるのではなく、候補者と対等なコミュニケーションを通じて相互理解を深めることを目指す必要があります。

場当たり的な進行を避け、明確なゴール設定、適切な担当者の配置、そしてリラックスできる雰囲気作りという3つのステップを踏むことで、候補者の本音を引き出し、自社の魅力を効果的に伝える面談が実現します。

Step1. 候補者との相互理解を面談のゴールに設定する

カジュアル面談の目的は、選考ではなく企業と候補者の相互理解を深める点にあります。スキルや経歴を評価するのではなく、候補者がどのような価値観を持ち、どのようなキャリアを歩みたいと考えているのかを理解することに重点を置きます。同時に、企業側も自社のビジョンや文化、働き方の実情を包み隠さず伝える姿勢が求められます。

面談のゴールを「相互理解」と明確に設定することで、進行もおのずと対話形式になり、座談会のような双方向のコミュニケーションが生まれます。候補者が「自分のことを理解しようとしてくれている」と感じることで、本音を話しやすくなり、結果として入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。

Step2. 候補者と年齢の近い若手社員をリクルーターに任命する

カジュアル面談の担当者として、候補者と年齢が近い若手社員を任命することは非常に効果的です。役員や管理職が面談相手では、候補者が萎縮してしまい、本音を打ち明けにくい状況が生まれる可能性があります。一方、年齢の近い先輩社員であれば、候補者はキャリアや働き方に関する素朴な疑問や悩みを気軽に相談しやすくなります。

実際にその企業で活躍している若手社員の具体的な事例を交えて話をすることで、候補者は入社後の自分自身の姿をより鮮明にイメージできます。担当する若手社員には、面談の目的が相互理解であることを事前に共有し、候補者の話を丁寧に傾聴する姿勢を徹底させることが重要です。

Step3. 本音で話せるリラックスした雰囲気作りを徹底する

候補者が心を開いて本音で話すためには、リラックスできる雰囲気作りが欠かせません。面談の場所を、無機質な会議室ではなくカフェや社内のフリースペースなどに設定するのも有効な手段の一つです。オンラインで実施する場合は、バーチャル背景を工夫したり、冒頭のアイスブレイクで趣味などの共通の話題を見つけたりすることで、場の緊張を和らげることができます。服装もスーツではなくオフィスカジュアルを指定すると良いでしょう。

会話の中では、候補者の発言を否定せず、肯定的な姿勢で受け止めることが肝心です。候補者の経験や考え方に対し、具体的な褒め方を交えながら対話を進めることで、安心して話せる関係性を築けます。

【当日の流れ】Z世代のホンネを引き出すカジュアル面談の進め方と質問例

カジュアル面談当日は、導入からクロージングまで、候補者がリラックスして対話に臨めるような進行を心がけることが大切です。特にスカウトやエージェント経由で初めて接点を持つ候補者に対しては、なぜその人に興味を持ったのかという背景を丁寧に伝えることで、スムーズな対話のきっかけを作れます。

ここでは、面談を5つのフェーズに分け、それぞれの段階でZ世代の本音を引き出すための進め方と効果的な質問例を紹介します。

【導入】アイスブレイクで候補者の緊張をほぐす質問例

面談の冒頭は、本題に入る前にアイスブレイクの時間を設け、候補者の緊張を和らげることに集中します。いきなり応募動機や仕事に関する質問をするのではなく、相手のパーソナリティに触れるような軽い話題から始めるのが効果的です。「最近何かハマっていることはありますか?」や「休日はどんなふうに過ごすことが多いですか?」といった質問は、会話のきっかけを作りやすいでしょう。

事前に候補者のプロフィール情報を確認しておき、「〇〇がお好きなんですね」と共通点に触れるのも良い方法です。この段階の目的は評価ではなく、あくまで相手に関心を示すこと。リラックスした雰囲気を作ることが、その後の円滑なコミュニケーションにつながります。

【企業説明】一方的なPRではなく候補者の興味に合わせた情報提供を

企業説明の時間は、用意したスライドを一方的に読み上げる場ではありません。まず「弊社のことで、特にどのような点に興味がありますか?」と問いかけ、候補者が何を知りたいのかを把握することから始めます。その上で、候補者の関心が高いテーマ、例えば具体的な事業内容、チームの雰囲気、キャリアパス、福利厚生などについて重点的に説明するアプローチが有効です。

自社の魅力だけでなく、現在抱えている課題や今後の展望についても率直に話すことで、企業の透明性を示し、信頼を得ることができます。説明の合間にも「ここまでで何か気になる点はありますか?」と適宜問いかけ、対話形式で進めることを意識するべきです。

【質疑応答】候補者の価値観やキャリアプランを深掘りする質問例

質疑応答のフェーズでは、候補者の内面にある価値観やキャリアプランをより深く理解することを目指します。面接のように能力を評価するような質問は避けなければなりません。「仕事をする上で、どのようなことを大切にしたいですか?」や「仕事を通じて、将来的にはどんな自分になっていたいですか?」といった問いかけを通じて、候補者が仕事に求める本質的な要素を探ります。

また、「これまでの経験の中で、特にやりがいを感じたのはどんな瞬間でしたか?」と尋ねることで、その人のモチベーションの源泉を知るヒントが得られます。ここでの目的はスキルの評価ではなく、自社の文化や働き方との相性を相互に確認することです。

【逆質問】企業のリアルな情報を誠実に伝える姿勢が重要

Z世代は企業の公式情報だけでは分からないリアルな情報を求めており、逆質問の時間を非常に重視します。「どんなことでも遠慮なく質問してください」というオープンな姿勢で候補者が抱える疑問や不安を解消する場にすることが大切です。特に残業時間や給与、人間関係といったデリケートな質問に対してもごまかさずに誠実に回答する姿勢が信頼を築きます。

例えばyahoo知恵袋などで見かけるようなネガティブな情報について問われた場合も事実関係を正直に説明し、改善に向けた取り組みなどを具体的に伝える準備をしておくと良いでしょう。良い面も悪い面も含めて企業のありのままの姿を伝えることで透明性を示すことができます。

【クロージング】今後の選考フローを明確に提示して面談を終える

面談の最後には、今後の選考プロセスについて明確に伝えます。このカジュアル面談を経て、もし候補者が選考に進むことを希望した場合、次にどのようなステップが用意されているのかを具体的に説明します。その際、選考に進むかどうかはあくまで候補者の意思次第であることを伝え、プレッシャーを与えない配慮が不可欠です。

ほかの世代と比較しても、Z世代は選択の自由を重んじるため、「もしご興味を持っていただけましたら、次は〇〇というステップになります」といった強制感のない伝え方が望ましいです。面談参加へのお礼を述べるとともに、最後まで丁寧なコミュニケーションを心がけることで、企業への好印象を維持できます。

Z世代とのカジュアル面談で失敗しないための3つの注意点

Z世代とのカジュアル面談は、企業側にとって候補者との貴重な接点を生み出す機会ですが、その進め方を誤ると、かえって企業のイメージを損なうことにもなりかねません。候補者に「聞いていた話と違う」という不信感を抱かせてしまうリスクを避けるためにも、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。

ここでは、企業側が特に留意すべき3つのポイントを解説し、候補者との良好な関係構築につなげるためのヒントを提示します。

選考のような雰囲気で一方的に質問攻めにしない

カジュアル面談の目的は、あくまでも相互理解であり、選考の場ではないという原則を忘れてはなりません。しかし、面接官の習慣から、つい候補者のスキルや経験を評価するような質問を一方的に投げかけ、質問攻めにしてしまう失敗例が散見されます。このような進行は、候補者に「カジュアル面談と聞いていたのに話が違う」という不信感を与えてしまいます。

企業側が有利な立場から尋問するのではなく、会話のキャッチボールを意識し、双方が同じくらいの時間話すことを心がけるべきです。候補者の話に真摯に耳を傾け、自然な対話の流れを作ることで、リラックスした雰囲気の中でお互いを理解することができます。

企業の魅力ばかりをアピールして自慢話にならないようにする

自社に興味を持ってもらいたいという思いが強すぎるあまり、企業の魅力的な側面ばかりを一方的にアピールしてしまうことがあります。しかし、企業側の自慢話と受け取られかねないプレゼンテーションは、Z世代の心には響きにくい傾向があります。彼らが求めているのは、飾られた言葉ではなく、企業のリアルな姿です。

そのため、自社の強みだけでなく、現在抱えている課題や改善途上の点についても正直に話す姿勢が、かえって信頼感を生みます。例えば、「現在、〇〇という課題がありますが、その解決のためにこのように取り組んでいます」と具体的に伝えることで、誠実で透明性の高い企業であるという印象を与えることができます。

候補者からの質問には回答をはぐらかさず正直に答える

候補者から投げかけられる質問、特に残業時間の実態や離職率、具体的な給与水準といった答えにくいテーマに対して、回答を曖昧にしたり、はぐらかしたりする対応は最も避けるべきです。情報の透明性を重視するZ世代は、そうした不誠実な態度を敏感に察知します。企業側にとって少し都合の悪い情報であっても、まずは事実を正直に伝えることが信頼関係の第一歩です。

即答が難しい質問の場合は、「その点については正確な情報をお伝えしたいので、確認して後日改めてご連絡します」と誠実に対応します。ネガティブな情報も、その背景や改善に向けた具体的なアクションを併せて説明することで、候補者の納得感を得ることが可能です。

まとめ

Z世代の採用活動において、カジュアル面談は企業と候補者が対等な立場で相互理解を深めるための極めて有効な手法です。彼らが持つ特有の仕事観や価値観を前提に、面談のゴール設定や担当者のアサイン、雰囲気作りといった事前準備を周到に行うことが成功の鍵を握ります。面談当日は、企業側が一方的に情報を発信するのではなく、候補者の本音を引き出す双方向の対話を重視するべきです。

企業の魅力だけでなく、課題も含めて正直に伝える誠実な姿勢が、候補者との長期的な信頼関係を構築します。カジュアル面談を通じて築かれた良好な関係は、採用におけるミスマッチを防止し、入社後の定着と活躍の基盤となります。

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