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記事公開日 : 2025/08/01
記事公開日 : 2025/08/08
就職活動における「学歴フィルター」は、多くの学生が気になるテーマです。実際に学歴フィルターは存在するのか、どのような基準で企業は学生を選別しているのか、その目的は何なのかといった疑問を抱く就活生も少なくありません。ここでは、学歴フィルターの実態と企業の意図、そして就職活動への影響について詳しく解説します。
学歴フィルターとは、企業が新卒採用を行う際に、応募者の大学名などの学歴を基準として学生を選別する手法を指します。具体的には特定の偏差値に満たない大学の学生を、採用選考の早い段階で除外する目的で実施されることがあります。企業は学歴フィルターの存在を公言しないものの、実際には多くの企業が採用活動に取り入れているのが現状です。日本労働組合総連合会の調査によると、4年制大学・大学院卒業者の約44%が就職活動中に学歴フィルターを感じたことがあると回答しており、その存在を実感している学生は少なくありません。
学歴フィルターが存在する理由として、企業側のさまざまな意図が挙げられます。学歴フィルターは、決して学生を差別する目的のみで行われているわけではありません。むしろ、効率的な採用活動や、特定の能力を持つ人材の確保といった、企業にとって合理的な理由が存在しています。
大手企業や人気企業では、毎年数万人に及ぶ応募者が殺到することが珍しくありません。すべての応募者のエントリーシートを詳細に確認し、一人ひとりに面接の機会を与えることは、限られた時間と人員では物理的に困難です。そこで、学歴を一つの基準として導入することで、膨大な応募者の中から効率的に選考対象を絞り込むことが可能になります。書類選考の段階で学歴に基づいたフィルターをかけることで、その後のWebテストや面接に進む人数を調整し、採用プロセス全体のコストと手間を削減することが目的の一つです。
企業が学歴フィルターを設けるもう一つの理由は、一定水準の能力を持つ人材を効率的に確保することです。高学歴であるということは、大学入試という競争を勝ち抜き、学業に真摯に取り組んできた証明と見なされる傾向があります。企業側は、高い偏差値の大学を卒業した学生は、論理的思考力や目標達成能力、学習能力において一定以上のレベルを持っていると期待します。例えば、高度な知的労働が求められる職種では、複雑な知識を習得し問題解決に取り組む能力が必要とされるため、学歴はそうした能力を測る一つの指標として利用されることがあります。
企業が学歴フィルターを設ける理由の一つに、社内文化や組織風土との適合性が挙げられます。特定の大学出身者が多く在籍する企業では、同じような学歴を持つ学生が、既存の社員と価値観や思考パターンが似ている可能性が高いと考えることがあります。これにより、入社後のミスマッチを減らし、組織へのスムーズな適応を促す目的があるでしょう。特に、企業内で高学歴の社員が出世している傾向がある場合、同じような属性の人材を採用することで、企業として今後も存続・発展できるという考え方につながることもあります。学歴が組織の安定性や一体感を保つための要素として捉えられているケースもあるでしょう。
企業イメージの向上も、学歴フィルターが存在する理由の一つとなり得ます。名門大学や有名大学の出身者を多く採用することは、企業が優れた人材を確保しているという対外的なアピールとなり、企業のブランドイメージや信頼性の向上に繋がる場合があります。特に中小企業においては、東京大学や京都大学といった難関大学の学生が入社したことを自慢する経営者もいるように、高学歴人材の採用が企業のステータスとして認識されることがあります。これにより、投資家や顧客からの評価が高まり、結果として企業の成長に貢献するという側面も考えられます。
学歴フィルターは、多くの就職活動中の学生にとって気になる存在であり、その実態は企業によって多岐にわたります。公にはされていないものの、採用プロセスの中で特定の学歴を持つ学生が有利になったり、不利になったりする場面が存在するのが現実です。ここでは、学歴フィルターの具体的な基準や、それを取り入れている企業の特徴、そして適用される具体的な場面について掘り下げていきます。
学歴フィルターの基準は企業によって異なりますが、一般的には大学群で区切られることが多いです。例えば、大手企業では「MARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)」や「関関同立(関西学院大学・関西大学・同志社大学・立命館大学)」レベルの大学が一般的なボーダーラインとなることが多いとされています。
最も学歴フィルターの影響を受けにくいとされるのは「東京一工(東京大学・京都大学・一橋大学・東京工業大学)」や「旧帝大(北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学)」、そして早慶上智といった最上位校です。これらの大学の学生は、ほぼすべての企業でフィルターを通過できると考えられています。また、「学歴フィルター42校」という言葉も存在し、これは学歴フィルターにかかりにくいとされる42の大学を指します。具体例としては、関東の国公立大学では筑波大学や埼玉大学、千葉大学、横浜国立大学などが挙げられます。ただし、これらの大学に在籍していても、特定の企業では学歴フィルターが設けられている場合があるため、過信は禁物です。
学歴フィルターが存在する企業にはいくつかの共通した特徴があります。まず、最も顕著なのは大手企業や有名企業、特に学生からの人気が高い企業で、採用倍率が非常に高い傾向にあることです。これらの企業では応募者が殺到するため、効率的な選考のために学歴フィルターを取り入れていることがあります。
次に、社員の出身大学に偏りがある企業も、学歴フィルターが存在する可能性が高いです。これは、過去の成功体験に基づき、特定の大学出身者が活躍しているという理由から、同様の学歴を持つ人材を優先的に採用しているケースが考えられます。また、コンサルティングファームや総合商社、金融関連の専門職、大手メーカーの研究職など、高度な知的労働や専門性が求められる業界や企業においても、学歴フィルターがある可能性が高いでしょう。これは、一定の学習能力やスキルが必要とされるため、高学歴の学生を優先的に採用しているためと推測されます。ただし、すべての企業が学歴で学生をふるいにかけているわけではなく、学歴以外の評価基準を重視して総合的に学生を評価する企業も存在します。
学歴フィルターは、就職活動の様々な段階で適用されることがあります。最も早期の段階としては、企業説明会やセミナーの予約時にフィルターがかけられるケースです。高学歴の学生は優先的に案内されたり、満席と表示される説明会が、別の高学歴の学生のマイページからは予約可能になっているといった事例が報告されています。
次に、エントリーシート(ES)の段階です。提出されたESが学歴によって選別され、ターゲット校以外の学生のESは読まれない、あるいは後回しにされることがあります。これにより、面接に進むことすらできない就活生が出てきます。さらに、Webテストの合格点数が学歴によって異なる場合や、リクルーターの有無も学歴フィルターが適用される場面として挙げられます。一部の企業では、特定の大学の学生にのみリクルーターがつき、選考に関する情報提供や面談を通じて、実質的に有利な選考段階に進めることがあります。このように、学歴フィルターは就職活動の複数の段階で、学生の情報取得や選考へのアクセスに影響を与える可能性があります。
学歴フィルターは、企業と就活生双方に様々な影響を及ぼします。企業側にとっては採用活動の効率化というメリットがある一方で、多様性の欠如やイメージ低下といったデメリットも存在します。就活生にとっては、自身の学歴によって機会が制限されたり、逆に有利に進められたりするなどの影響を受ける可能性があります。
学歴フィルターを設けることで、企業側は採用活動を効率化できるというメリットを享受できます。特に、大量の応募が殺到する大手企業では、すべての応募書類に目を通すには莫大な時間とコストがかかります。学歴という明確な基準を設けることで、選考の手間を削減し、採用コストを抑制できます。また、高学歴の学生は、高い偏差値の大学入学を経験していることから、勤勉さや基礎学力、論理的思考力といった一定水準の能力が担保されていると見なされやすいです。これにより、入社後に安定したパフォーマンスを発揮する可能性が高い人材を効率的に確保できると企業は考えます。
さらに、社内で高学歴の社員が出世しているケースが多い場合、学歴フィルターを通じて既存の社内文化や組織風土に合う人材を採用しやすくなるというメリットもあります。優秀な人材を効率的に採用できるという先入観や、新卒の判断材料が少ない中で、誰にでも分かりやすい学歴は判断しやすい指標となるのです。
学歴フィルターは企業にメリットをもたらす一方で、いくつかのデメリットや問題も抱えています。最も大きなデメリットは、学歴だけを重視することで、学歴以外の多様な能力や潜在的な可能性を持つ優秀な人材を見逃してしまうリスクがあることです。学歴が高いからといって、必ずしも仕事ができるとは限らず、高学歴な人材が期待に応えられないケースも存在します。これにより、企業全体のイノベーションや多様性が欠如し、組織の衰退に繋がる恐れも否定できません。
また、学歴フィルターの存在が明らかになった場合、企業イメージの低下や社会的な批判を招くリスクもあります。特に近年は多様性を重視する傾向が強まっているため、学歴による差別と捉えられ、企業の評判を大きく損なう可能性があります。SNSの普及により、不公平な採用活動は瞬時に拡散され、企業にとって大きなダメージとなることも考えられます。企業としては、学歴フィルターが採用ミスマッチを引き起こす可能性や、社会からの批判にさらされる問題を認識しているため、今後は採用方針を変更する企業も出てくるでしょう。
学歴フィルターは、就活生側にも大きな影響を及ぼします。学歴フィルターの対象となる大学の学生は、企業説明会やセミナーの予約ができなかったり、エントリーシートが通過しにくくなったりするなど、選考の初期段階で不利な状況に置かれることがあります。これにより、高学歴の学生に比べて得られる情報が少なく、選択できる企業が制限されるといった情報格差が生じることがあります。また、リクルーターがつきにくいという影響も考えられます。
一方、理系の学生は文系に比べて学歴フィルターが厳格ではないとされており、専門スキルや研究実績が重視される傾向があります。特に研究職を目指す場合は、大学院への進学が有利に働くこともあります。学歴フィルターを乗り越えるための対策としては、学歴以外の実績(例:インターンシップ、留学、難易度の高い資格取得など)を積極的に作り、アピールすることが重要です。選考書類を丁寧に作成し、面接対策を徹底することも不可欠です。また、学歴フィルターの有無を企業ホームページの採用実績校や、リクルーターの有無で確認するなど、戦略的な就活を進めることが求められます。
学歴フィルターは、多くの企業、特に大手企業や人気企業において、採用活動の効率化や一定水準の能力を持つ人材確保を目的として存在しているのが実態です。これにより、説明会への参加制限やエントリーシートの通過率など、就活生が選考の早い段階で影響を受ける可能性があります。しかし、学歴フィルターには優秀な人材を見逃すリスクや企業イメージの低下といったデメリットも伴います。就活生は、自身の学歴フィルターへの懸念を抱く一方で、学歴だけに囚われず、学業以外の実績や経験、そして入社への熱意を具体的にアピールすることで、学歴の壁を乗り越えることができるでしょう。自己分析を深め、企業が求める能力と自身の強みを結びつけ、戦略的な対策を講じることが、希望する企業への内定獲得に繋がります。
記事公開日 : 2025/08/01
記事公開日 : 2025/07/28
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