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記事公開日 : 2025/07/25
記事公開日 : 2025/07/29
近年、新卒採用の現場で「オヤカク」という言葉が注目されています。オヤカクとは、学生の内定辞退を防ぐために、企業が保護者に対して入社への同意を確認したり、自社への理解を深めてもらうための取り組みです。多くの企業がオヤカク対策に力を入れており、採用担当者にとってその理解と実践は不可欠となっています。本記事では、オヤカクの背景、具体的なトラブル事例、そして企業が実施すべきオヤカク対策について詳しく解説します。
オヤカクとは、「親への確認」を略した言葉で、企業が内定を出した学生の保護者に対し、内定への同意を確認したり、自社について説明を行ったりする活動を指します。学生自身が入社を希望していても、保護者の反対を理由に内定辞退や早期退職につながるケースが増加しているため、近年この「オヤカク」が注目されています。かつては保護者が就職活動に関与することは少なかったものの、現代では保護者が子どもの就職先選びに大きな影響を与えるようになり、企業が保護者への働きかけを行う必要性が高まっている背景があります。
現代の就職活動において、保護者が子どもの就職先選びに関与するケースが増加しています。マイナビが実施した調査によると、子どもの内定先企業から「オヤカク」を含む連絡を受けたことがある保護者は52.4%と半数を超えており、6年前の調査開始時(17.7%)と比較して大幅に増加しています。
これは、近年続く「売り手市場」で人材獲得競争が激化していることや、コロナ禍を経て企業が内定者の囲い込みを強化する中で、保護者への働きかけが重視されるようになったことが背景にあります。多くの保護者が子どもの就職活動に高い関心を示しており、その関心度はここ数年70%台で推移しています。特に母親は、就職活動に関して子どもとコミュニケーションをとる機会が多い傾向が見られます。
現代の学生にとって、保護者は最も身近な社会人であり、就職活動における重要な相談相手となっています。リクルート就職みらい研究所の調査では、就活生が保護者との関わりで「個性を尊重し、自分の活動を肯定してくれた」「普段と同じ態度で見守り役、聞き役に徹してくれた」といった点を「よかったこと」として挙げています。一方で、保護者側のアンケートでは、「企業によっては子どもに内定辞退を促す」が20.4%、「子供の就職活動は親の意見も反映して進めるべき」が14.6%、「子供に就職してほしい企業、してほしくない企業がある」が55.3%という結果が出ており、保護者が子どもの就職に対して具体的な希望や懸念を抱いていることが伺えます。
特に、知名度の低い中小企業への就職に関しては、保護者の賛成が15.1%に激減し、反対が16.3%に急増するというデータもあり、保護者の企業に対するイメージが内定承諾に大きく影響することが分かります。このように、学生が保護者の意見を重視する傾向が強まっているため、企業は内定辞退のリスクを軽減するためにも、保護者の理解を得るためのオヤカク対策を講じる必要性が高まっています。
オヤカクを適切に行わない場合や、保護者の理解が得られない場合に、企業はさまざまなトラブルに直面することがあります。例えば、保護者が企業に対して否定的なイメージを抱いている場合、子どもがその企業で働くことに反対し、結果として内定辞退につながる事例があります。
特に、中小企業は大手企業や公務員と比較して安定性や知名度で劣ると見られがちで、保護者が不安を抱くケースが少なくありません。知名度が低いことが原因で入社を反対されるケースや、転居を伴う就職に保護者が難色を示す事例も報告されています。また、残業時間など労働条件への懸念や、企業の財務状況に対する説明不足が保護者の不安を招くこともあります。さらに、「オヤカクをしない企業は、内定者の意思を軽視しているのではないか」と保護者が不信感を抱くケースも存在し、企業側の配慮が不足すると関係が悪化する可能性もあります。
これらのトラブルは、企業にとって内定辞退という形で大きなダメージとなり、特に優秀な人材の確保が難しい中小企業にとっては深刻な問題です。ただし政府は、企業が保護者に対し内定承諾を強要する事例が発生したことから、学生の職業選択の自由を妨げる可能性があるとしてオヤカクの防止を呼びかける方針を示しており、適切なオヤカク対策の重要性がますます高まっています。
保護者から内定を反対された場合、企業として適切なオヤカク対策を講じることが重要です。まず、学生本人の意向を丁寧に確認し、その上で必要に応じて保護者との面会を検討するなど、段階を踏んだ対応が求められます。
保護者から内定を反対された場合、採用担当者はまず就活生本人の意向を丁寧に確認することが重要です。学生がどのような理由でその企業を選び、どのようなキャリアプランを描いているのかを改めてヒアリングし、学生自身の言葉で保護者に説明できるようサポートすると良いでしょう。この際、学生が保護者とどのような内容を話しているのかを探ることも有効です。例えば、保護者が大手志向、地元志向、あるいは穏やかな社風を求めているなど、会社選びの軸について具体的に聞き出すことで、企業側も学生が抱える課題や保護者の懸念点を把握しやすくなります。
学生がまだ企業選定中で意志が固まっていない段階で保護者に連絡を取ることは、学生にプレッシャーを与えたり、保護者が「企業が内定者の意思を軽視している」と誤解したりする可能性があるため、タイミングには注意が必要です。学生が自社の入社に前向きに検討し、一定の決意が固まった時点で保護者へのアプローチを行うのが理想的です。学生と保護者の良好なコミュニケーションを促進し、学生が自らの意思で保護者を説得できるよう、企業は適切な情報提供や相談に乗る姿勢を示すことがオヤカク対策の第一歩となります。
保護者から内定を反対された場合、状況に応じて保護者との面会を検討することも有効なオヤカク対策の一つです。企業が直接保護者と会うことで、自社の魅力や信頼性を対面で伝える機会を設けることができます。面会の場では、事業内容や将来性、働きがい、福利厚生、キャリアパスなど、保護者が不安に感じているであろう点について具体的に説明し、安心感を提供することが重要です。特に、企業が知名度不足や業界イメージの悪さで誤解されている場合、直接会って丁寧に説明することで、保護者の悪いイメージを覆し、好意的な感情を抱いてもらえる可能性があります。
面会は、食事会や懇親会といったイベント形式で実施されることもあり、他の内定者やその保護者との交流の場を設けることで、入社への不安を軽減する効果も期待できます。また、企業によっては社長や採用担当者が家庭訪問を行うケースも見られ、よりパーソナルな関係を築くことで保護者の信頼を得ようとする試みもあります。ただし、面会を打診する際は、内定者本人の同意を事前に得ることが必須であり、プライバシー保護にも十分配慮する必要があります。あくまで内定者本人の意思を尊重しつつ、保護者との信頼関係を築くための手段として面会を検討することが、オヤカク成功の鍵となります。
保護者からの内定辞退を防ぐためには、企業が積極的かつ多角的なオヤカク対策を講じることが不可欠です。保護者の不安を解消し、企業への理解を深めてもらうための施策と、具体的な確認における対策事例を組み合わせることで、効果的なオヤカクを実現できます。
保護者の内定辞退を防ぎ、安心感を与えるためのオヤカク対策として、企業は様々な施策を講じることが可能です。まず、企業情報の資料を保護者向けに送付することは非常に有効です。会社案内パンフレットや採用パンフレットのほか、内定理由通知書(学生のどのような点が評価されたかを説明する文書)や、企業の商品などを同封することで、保護者は企業を具体的に知ることができ、信頼感を抱きやすくなります。
また、企業のウェブサイトや採用サイトに保護者向けの特設ページを設けることも効果的です。ここでは、企業の安定性や将来性、福利厚生、働きやすさ、社員のメッセージなどを掲載し、保護者が抱きがちな「ブラック企業ではないか」「子どもの成長機会はあるのか」といった懸念を払拭する情報を提供することが重要です。さらに、手紙や内定理由通知書を親宛に送付することで、企業からの丁寧なアプローチを感じさせ、安心感を与えることができます。食事会や懇親会などのイベントに親を招待したり、社長や採用担当者から保護者へ直接電話で挨拶したり、場合によっては家庭訪問を実施したりすることも、企業の誠意を伝え、信頼関係を築く上で有効な手段です。
これらの施策を組み合わせることで、保護者は企業が子どもを大切にする姿勢を感じ、入社への不安を軽減できるでしょう。
現代の就職活動において、保護者の関与は無視できない要素となっており、オヤカクは採用担当者にとって重要な対策の一つです。内定辞退を防ぎ、安心して入社してもらうためには、学生本人だけでなく保護者にも企業への理解を深めてもらうための積極的な働きかけが求められます。企業情報の丁寧な提供、保護者向け説明会の開催、個別相談への対応など、多角的なオヤカク対策を講じることで、内定承諾率の向上と、入社後の安定した定着に繋げることができます。
記事公開日 : 2025/07/25
記事公開日 : 2025/07/14
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