記事公開日 :  2025/02/13

最終更新日 : 2025/07/31

採用活動にも活かせる、MBTI性格診断とは?

採用活動にも活かせる、MBTI性格診断とは?

近年、若年層を中心に注目を集めている「MBTI診断」。MBTI自体は1960年代に開発された性格審査ですが、2022年に韓国の音楽グループBTSがMBTIをテーマにした動画を公開したことで話題になりました。
Webサイト上で簡単に診断できることと、他の性格診断よりも詳細に判断できることから、SNSで一気に流行しました。この記事ではそんなMBTIと、採用の関係性についてお話していきます。

そもそもMBTIとは?

MBTIは、心理学者のカール・ユングのタイプ論を基に、キャサリン・クック・ブリッグスとイザベル・ブリッグス・マイヤーズの母娘によって開発された性格検査です。MBTIは「マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標」の略称で、個人の認識や意思決定の方法を自己申告によって診断し、16種類の性格タイプに分類します。

MBTIは、個人の性格をタイプに分類したり、診断したりすることを目的とするのではなく、回答者一人ひとりが自分自身を深く理解するためのツールとして用いられます。

MBTIの基礎知識と4つの指標

MBTIは、個人の性格を理解するための4つの基本的な指標から構成されています。これらの指標は、それぞれ2つの対極的なタイプを持ち、その組み合わせによって16の性格タイプが導き出されます。

まず、「興味関心の方向」は、エネルギーが外界に向かう「外向型(E)」か、内界に向かう「内向型(I)」に分けられます。次に、「ものの見方」は、五感を通して事実を重視する「感覚型(S)」か、パターンや可能性、全体像を重視する「直感型(N)」に分かれます。さらに、「判断の仕方」は、論理や客観性を重視する「思考型(T)」か、価値観や他者への影響、調和を重視する「感情型(F)」に分けられます。最後に、「外界への接し方」は、計画的で決断的に臨む「判断型(J)」か、柔軟で臨機応変に臨む「知覚型(P)」に分かれます。

これらの4つの指標を組み合わせることで、例えば「ISTJ(内向・感覚・思考・判断)」や「ENFP(外向・直感・感情・知覚)」といった16の性格タイプが特定されます。MBTIでは、これらのタイプに優劣はなく、それぞれのタイプが持つ強みや特性を理解し、自己成長や他者理解に役立てることが目的とされています。

MBTI診断の信憑性と注意点

MBTI診断は多くの人々が利用していますが、その信憑性については議論が存在します。日本MBTI協会は、インターネット上で流行している無料の診断ツールについて、「妥当性が検証されておらず、MBTIを真似てはいるものの、まったくの別物である」と指摘しています。そのため、公式のMBTIとは異なるWeb診断の結果を過度に信頼することには注意が必要です。

また、個人の性格は時間や経験によって変化するものであるため、一度の診断結果だけを根拠にすべてを判断することは適切ではありません。例えば、ある特定の状況下での回答が、別の状況では異なる結果を生む可能性もあります。このように、MBTIには一定の有用性が認められる一方で、その科学的信頼性や正確性については十分理解し、注意深く扱うことが求められます。自己理解や他者理解を深めるツールとしては活用できますが、個人の特性や能力を決定づけるものではないことを認識しておくことが重要です。

”採用”という側面から見るMBTI

性格診断が採用活動に利用されるのは、企業が応募者の強みや適性を効率的に把握できるためです。これにより、企業は適性の高い人材を見つけ出し、雇用におけるミスマッチを回避できます。

しかし、その結果だけを重視しすぎると、視野が狭まり、人材発掘の機会を逃す可能性があります。そのため、採用活動においては、性格診断の結果を参考にしつつも、柔軟で広い視点を持つことが求められます。

企業側がこれらを採用プロセスに取り入れる際には、あくまで一部の評価軸として位置づけ、求職者のスキルや経歴、面接でのやり取りなど、他の情報と総合的に判断することが必要です。

企業がMBTIを活用するメリット

企業がMBTIを活用するメリットは多岐にわたります。まず、採用活動において、応募者の性格や適性を客観的に把握できる点が挙げられます。履歴書や職務経歴書だけでは見えにくい潜在的な能力や特性を掘り下げ、自社が求める人物像や社風との相性を定量的に可視化できます。これにより、ミスマッチによる早期離職を防止し、定着率向上に繋げることが可能です。例えば、ルールを重視する部署に挑戦的な人材を採用してしまうと、能力を発揮できずに早期離職する可能性が高まりますが、MBTIを用いることで、社風や部署の特性に合った人材を見つけやすくなります。

また、人材育成の面では、個々の従業員の強みや弱みを把握し、適切な研修プログラムやキャリア開発の機会を提供できます。例えば、丸井グループでは、従業員同士の自己理解を深め、自己成長に繋げることを目的にMBTIを導入し、ワークショップ形式で実施することで、多様性への気づきを促しています。チームビルディングにおいても、MBTIは有効なツールです。チームメンバーそれぞれの性格タイプを理解することで、相互理解が深まり、コミュニケーションが円滑に進むことが期待されます。例えば、論理的な思考が得意なタイプと、共感力が高く調和を重んじるタイプがいる場合、それぞれの強みを活かした役割分担や、お互いの特性を補完し合えるようなチーム編成を促進できます。

さらに、マネジメントの観点からも、MBTIは役立ちます。上司が部下の性格特性を理解することで、個々に合わせた効果的なコミュニケーション方法や指導を行うことができ、従業員のモチベーション向上や生産性向上に繋がります。タレントマネジメントシステムにMBTI診断ツールを実装する企業も増えており、社員の個性や強みを理解し、組織作りや人材配置に活用する動きが広がっています。

性格診断を採用に活かした企業事例

MBTI診断を採用活動に活用している企業は複数存在します。これは、候補者の性格特性と、求められるスキルや業務内容との適合性を評価し、効率的な選考プロセスを構築するためです。自社サイトで社員のMBTIタイプを公開し、どのようなタイプが活躍しているかを発信することで、求職者に対して企業のカルチャーや働き方を具体的に伝え、自社への興味を喚起する企業もあります。

具体的な事例として、株式会社リクルートでは、かつて採用時の適性検査にMBTIが組み込まれていました。公式ライセンスの終了により現在は検査から外れていますが、2000年代にはすでに採用現場で活用されており、入社後の「新入社員紹介冊子」にもMBTIが記載され、社員間のコミュニケーションのきっかけとなっていたそうです。

また、アパレルブランドを展開する株式会社yutoriは、MBTIのT(思考型)とJ(判断型)の属性であるISTJ・ESTJ・INFJのタイプを持つ人材の採用を強化しています。これは「ルールに忠実」「効率主義」「現実的」といった特性がディレクションに適しているためであり、実際にSNSで採用を呼びかけたところ、大きな反響がありました。 株式会社yutoriは、組織内外のコミュニケーションツールとしてMBTIを積極的に活用しています。

他にも、丸井グループでは従業員同士の自己理解を深め、自己成長を促す目的でMBTIを導入し、ワークショップ形式で実施することで、多様性への気づきを促しています。 僕と私と株式会社もMBTI研修を導入し、メンバー間の自己理解・他者理解を促進することで、社内コミュニケーションの活性化、リモートワークで生じやすいコミュニケーションの齟齬解消、さらにはクライアントとのコミュニケーションへの活用にまで広げています。 これらの事例から、MBTIは採用だけでなく、入社後の人材育成や組織開発にも有効なツールとして活用されていることがわかります。

就活生目線で見るMBTI診断

就職活動中の学生にとって、MBTI診断は自己理解を深める有効な手段の一つです。この診断を通じて、自分自身の性格特性を把握し、それをもとにどのような職種や業界が自身に適しているかを考えるきっかけになります。ただし、MBTIはあくまで自己分析や企業選びの参考として活用すべきであり、結果に縛られすぎないことが重要です。

本見出しでは、就活生がMBTI診断をどのように活用できるのか、そして活用する上での注意点について詳しく解説していきます。

自己分析にMBTIを活用する方法

MBTIを自己分析に活用する際は、まず自身の診断結果をしっかりと理解することが重要です。MBTI診断の結果は、自分の性格や思考パターンがどのような傾向を持つのかを示しており、自分では気づかなかった性格的な側面や行動の傾向にも気づくことができます。

たとえば、外交的な性格であればチームプロジェクトが多い職種や人と関わる機会の多い環境が向いている可能性があります。一方で、内向的な性格の場合、じっくり考えられる分析職や個人作業が重視される職場が適している場合があります。このように、自らの特性を把握することで、応募先の文化や環境とのマッチングをより明確に掴むことができ、職場選びにも役立てられます。

さらに、自己分析にはモチベーショングラフや自分史など、他のツールを併用するのもおすすめです。これまでの経験やモチベーションの上がる瞬間を振り返り、それらがMBTI診断結果とどのように重なるかを考えることで、より深い自己理解につながります。診断結果と働き方の適性を掛け合わせ、自分の強みをアピールする材料として活用したり、改善点を見つけて成長に向けた計画を立てたりと、多方面での活用が期待できます。

MBTIを就活で活用する際の注意点

MBTI診断を就職活動に活用する際には、いくつかの重要な注意点があります。まず、診断結果はあくまで自己理解の「傾向の一端」を示すものであり、自分自身を完全に定義する「絶対の真実」ではないことを認識することが大切です。性格や行動パターンは、時間や経験、状況によって変化する可能性があるため、一度の診断結果に過度に固執することは避けるべきです。例えば、先月と今月で診断結果が異なることもあり得るため、結果を鵜呑みにせず、あくまで参考程度に留める姿勢が重要となります。

次に、インターネット上で無料公開されているMBTI診断ツール(例:16Personalities)は、公式のMBTIとは異なるものである点に留意してください。 公式のMBTIは、有資格者の支援のもと、ワークショップを通じて自己理解を深めるプロセスを重視しています。そのため、手軽なWeb診断の結果だけで、自身の性格タイプを断定したり、それを採用担当者にアピールしたりする際には慎重さが求められます。

また、MBTIは自己理解を深めるためのツールとしては有用ですが、適職診断の唯一の根拠とするべきではありません。 診断結果に示された適職以外にも、自身に合う職業は存在する可能性があります。 診断結果によって可能性を狭めてしまうことなく、幅広い業界や企業情報を収集し、多角的な視点から自分の適職を見つける努力が重要です。企業側がMBTIを採用プロセスに導入する場合でも、その結果だけで合否を判断することは少なく、スキル、経験、面接での対応など、他の情報と総合的に判断することが一般的です。 就活生は、MBTIを自己PRのきっかけや、企業選びの参考の一つとして活用しつつ、自身の強みや志望動機を自身の言葉で具体的に伝えることに注力することが、成功への鍵となります。

まとめ

MBTI診断は、企業選びや人材採用だけでなく、職場での人間関係の構築にも役立つツールです。思考スタイルや行動パターンを把握することで、企業は求職者との文化的な適合性を考慮した採用ができ、結果として企業側・応募者側ともに就職活動の質を向上させることが期待されます。さらに、企業内部においてもMBTIが活用されるケースが増えており、チーム編成や人材教育の一環として取り入れることで、より効果的な人材活用が可能になります。

ただし、MBTIはあくまで自己理解や他者とのコミュニケーションの補助ツールとして活用するのが本来の目的であり、その結果をもとに個人の特性や能力を決めつけることは避けるべきです。あくまで参考として、社員一人ひとりの個性を尊重しながら育成やチームビルディングに役立てることが重要です。

関連記事

SNS業界の最新情報

20代の85%が企業のSNSを検索!活用術も掲載しています。お役立てください。

最新記事

こんな記事を書いています

SNS採用のノウハウ

20代の85%が企業のSNSを検索!Z世代の採用には欠かせない、SNSの活用方法などについて発信します。

人材採用のノウハウ

求人広告やダイレクトリクルーティング etc. 採用手法が多様化している現在において、採用成功に必要なノウハウを発信します。

お役立ち資料

採用活動に活かせる資料やデータをダウンロードできます。無料でダウンロードできますので、お役立てください!

お問い合わせ

CONTACT

メールでのお問い合わせ

MAIL FORM

お問い合わせ Webでお問い合わせ