記事公開日 :  2024/11/27

最終更新日 : 2024/12/04

【11月から施行】フリーランス新法とは?背景や内容まで徹底解説

【11月から施行】フリーランス新法とは?背景や内容まで徹底解説

働き方が多様化し、フリーランスの人口が増加傾向にある現在。仕事をする場所や働く時間など、自由なスタイルで働けるメリットがある一方で、報酬の未払いなどの契約トラブルが後を絶ちません。そんな状況を変えるべく、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取 引適正化等法)通称『フリーランス法』が今年の11月1日から施行されました。

フリーランス新法とは

目的

・フリーランスと発注事業者の間の、取引の適正化
・フリーランスとして働く方の就業環境の整備
これらを遂行することにより、フリーランスの方が安心して働ける環境の整備を図ることが目的です。

設立された背景

 フリーランスとして働く方が安定的に仕事をできる環境を整えるためにフリーランス新法が施行されました。
 <トラブルの例>
 ・報酬の支払いが遅れた、期日に支払われなかった
 ・あらかじめ決定していた報酬を減額された
 ・発注者の都合で、やり直しや追加作業を行ったが追加費用を負担してもらえなかった etc.


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フリーランス新法における「フリーランス」の定義

フリーランス新法における特定受託事業者(=フリーランス)とは「業務委託の相手方となる事業者であって、従業員を雇用していない者」を指します。具体的には、1人で仕事をしている個人事業主・法人であっても、従業員を雇っていない1人社長などです。業種は問わず、ライターやフォトグラファー、ジムのインストラクターなどフリーランスであれば誰もが保護対象となります。またフリーランス新法の対象となる取引は、フリーランスと発注業者というBtoBの取引(事業者同士)になります。BtoCの取引(事業者と消費者)や、業務委託ではない取引(売買など)・フリーランス同士(従業員を雇っていないもの同士)は対象にはなりません。




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発注側に求められる対応

法律内では、取引条件の明示や報酬支払期日の設定など、発注事業者側へ7つの義務が課せられました。

【1】書面などによる取引条件の明示

口頭で契約内容について伝えるのではなく、書面などによる取引条件の明示が義務づけられます。フリーランスに業務委託をした場合、書面または電磁的方法(メッセージなど)を用いて取引条件を明示しなければなりません。

 <明示事項>
 ・給付の内容
 ・報酬の額
 ・支払期日
 ・業務委託事業者・フリーランスの名称
 ・業務委託をした日
 ・給付を受領する日/役務の提供を受ける日
 ・給付を受領する場所/役務の提供を受ける場所
 ・(検査をする場合)検査完了日
 ・(現金以外の方法で報酬を支払う場合)報酬の支払方法に関して必要な事項

取引条件を書面・電磁的記録で残すことで、トラブルを未然に防げるでしょう。

【2】報酬支払期日の設定・期日内の支払い

報酬日の支払期日は、発注した物品を受けとった日から60日以内で、できる限り短い期間で報酬支払日を定め、その期日までに支払わなければいけません。

【3】7つの禁止行為が定められる

フリーランスに対して1ヶ月以上の業務を委託した場合には、以下7つの行為が禁止されています。

 ・受領拒否(注文した物品または情報成果物の受領を拒むこと)
 ・報酬の減額(あらかじめ定めた報酬を減額すること)
 ・返品(受け取った物品を返品すること)
 ・買いたたき(類似品等の価格または市価に比べて、著しく低い報酬を不当に定めること)
 ・購入・利用強制(指定する物・役務を強制的に購入・利用させること)
 ・不当な経済上の利益の提供要請(金銭、労務の提供等をさせること)
 ・不当な給付内容の変更・やり直し(費用を負担せずに注文内容を変更し、または受領後にやり直しをさせること)

【4】募集情報の的確表示が義務付けられる

広告などでフリーランスの募集情報を提供する際は、虚偽の表示または誤解を生むような表示は禁じられています。またその情報は常に、正確かつ最新の内容にしておかなければなりません。

【5】育児介護等と業務の両立に対する配慮

フリーランスに対して6ヶ月以上の業務を委託している企業は、申し出があった際には育児・介護などと業務を両立できるよう、必要な配慮をしなければなりません。具体的には、妊娠検診がある日の打ち合わせ時間を調整したり、育児・介護のためオンラインで業務ができるような体制を整えることなどが挙げられます

【6】ハラスメント対策に関する体制を整備する

一般的に優越的な立場にある企業が、ハラスメントを通してフリーランスの就業環境を阻害することはあってはならないことです。そこで企業は、従業員に対しハラスメント研修を実施したり、ハラスメントの相談窓口を設けるなどの措置が必要になります。

【7】中途解除等の事前予告・理由開示を行う

フリーランスに対して6ヶ月以上の業務を委託している場合、契約解除をする場合や更新しない場合は少なくとも30日前までに予告しなければなりません。また解除の予告がされた日から契約満了までの間に、フリーランスが解除理由を請求した場合は理由を開示する必要があります。


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フリーランス新法との向き合い方

フリーランス新法における、遵守すべき義務や禁止事項を正しく守らないと、発注業者は行政の調査を受けることになります。その際に指導・助言を受けたり、必要な措置を取るよう勧告されますが、これに従わない場合は命令・企業名公表が行われます。さらには命令に従わない場合、罰金が課せられるので注意しましょう。

 <フリーランス新法との向き合い方>
 ・契約書や募集内容のフォーマットを作る
 ・フリーランスの就業環境を意識し、体制整備を改める
 ・マニュアルを配布するなど、同法を社内に周知する
 ・同法に遵守することを社外に対して発信する
 ・疑問があれば公正取引委員会や厚生労働省に問い合わせる

上記は一例ですが、しっかりとフリーランス新法について理解をし、ビジネスパートナーとしてより良い関係性を築けるよう工夫をしていきましょう。

さいごに

公正取引委員会は、フリーランス新法に関する特設サイトを設置。ポップなイラストや「あるあるチェック」といったコンテンツを交えながら、フリーランス・事業者の両者に向けてわかりやすく解説しています。

◇校正取引委員会フリーランス法特設サイト
https://www.jftc.go.jp/freelancelaw_2024/index.html
両者がフリーランス新法に対する理解を深め、トラブル防止に努めることが重要です。「自分は対象者なのか?」「この対応でいいのだろうか」と不安を抱えている場合には、専門家への相談もおすすめします。事業者側がフリーランス新法に違反した場合、関係省庁による指導や勧告などの措置が行われる場合があります。社内全体で情報を共有し、法令順守を徹底しましょう。

◇フリーランス・トラブル110番(フリーランス向け相談窓口)
https://freelance110.mhlw.go.jp/

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